長距離航海者レポート ―Cruising Weather Support―

長距離航海を経験されたお客様の声をもとに、航海に役立つ情報をご紹介しています。

寄港地について

特に満足度の高かったところ

  • 航海中は繰り返し整備をしてきたが、費用、技術、設備等ある程度満足できる場所は優れている順番に
    ①ワンガレイ(ニュージーランド)
    ②ラゴス(ポルトガル)
    ③チャガラマス(トリニダードトバゴ)
    ④ケープタウン(南アフリカ)
    ⑤ビクトリア(カナダ:技術・設備は充実しているが高額)
  • ワイキキヨットクラブ
    パペーテ公営マリーナ(電気・水あり。あとは町で調達。)
    アピア公営マリーナ(新しいマリーナ。店など建設中。)
    オプアマリーナ(新しい、大きい、設備充実、入出国手続き事務所あり。)
    シティー・ベイズン・マリーナ(何でも修理可の陸揚げ保管場所が周囲に3か所あり。)
  • ギリシャの島は港にスターンツーするのだが、町中で結構生活しやすい。トリニダード・トバゴのチャグアラマスは思いの外良かった。

おすすめの寄港地

名称 都市 国名
Victoria バンクーバー カナダ
Marina del Rey ロサンゼルス アメリカ
Hawaii Yacht Club ホノルル/オアフ島 ハワイ
Waikiki Yacht Club ホノルル/オアフ島 ハワイ
Ala Wai Yacht Harbor ホノルル/オアフ島 ハワイ
Papeete Marina タヒチ島 フランス領ポリネシア
Marina Taina タヒチ島 フランス領ポリネシア
Apia Marina アピア/ウポル島 サモア
Port Denarau Marina ナンディ/ビティレブ島 フィジー
Vuda Point Marina ラウトカ/ビティレブ島 フィジー
Copra Shed Marina サブサブ/バヌアレブ島 フィジー
Musket Cove Island Resort マロロライライ島 フィジー
Yachting World Marina ポートビラ バヌアツ
Port Moselle Marina ヌーメア ニューカレドニア
Port de Sud Marina ヌーメア ニューカレドニア
Cruising Yacht Club of Australia シドニー オーストラリア
Fremantle Sailing Club フリーマントル オーストラリア
Opua Marina オプア ニュージーランド
Town Basin Marina Village ワンガレイ ニュージーランド
Boat Lagoon Marina プーケット タイ
Royal Cape Yacht Club ケープタウン 南アフリカ

情報の入手方法

  • チャーリーズチャートなどのガイドブック、インターネット、noonsiteなどクルージング情報サイト。他艇から。
  • 出港前には情報不足で、第1レグでは、入港先が未定。このため入港直前苦労した。馬場社長よりマリーナ情報を入手。第2レグ以降、慣れるにしたがって十分な詳細情報を入手できるようになった。電子チャート、ガイドブックに加え長期航海者同士の情報交換が寄港地決定に役立った。
  • 基本、港やマリーナにいるヨットマンやフィッシャーマンに聞きました。
  • クルージングガイド、SSCAの記事
  • 航海経験者の話。Noonsiteというホームページ、Landfalls of Paradiseという本など。
  • 日本を出発前に可能な限り情報を収集しました。次の寄港地に向けて出航する前に、メールにて予約をとりました。その情報の多くは、ヨットクラブのバー等で、知り合いになったヨット乗りから得ました。
  • 最終的にnoonsiteがベストだった。
  • Noonsite、カナダ・バンクーバー現地ガイドブック4冊、アメリカ西海岸地区ガイドブック1冊、ハワイガイドブック1冊、各国の観光局ホームページ、航海者からの情報
  • インターネット Noosite(http://www.noonsite.com/)、ガイドブック Charlie's Charts、寄港地で知り合ったヨットマン

入港前手続きについて

  • VHF16チャンネルで港長などと連絡して直接手続き、マリーナやホテルのエージェントに代行依頼。
  • ケースバイケース。可能な限り電話(イリジューム)で入港の2~3日前に適当と思われる港湾管理事務所・マリーナ・水上警察等に入港を通知し、入港直前(2~3時間前)に指定された連絡先に再度通知。VHF16を連絡用に使う場合もあり。出港前に次の寄港地の関連事務所にメールを送ったこともあるがレスポンス無し。
  • マリーナから次に行くマリーナへFAXやTELしました。入港前はVHFを使用。イスラエルが一番厳しかったです。ロシアは事前にエージェント経由。
  • 通常、飛び込み。断られたのはイタリアとコルシカで3回ほど。マルセイユは知人経由で予約した。必要なドキュメントは、ポートクリアランス、ポートレジストレーション、保険証書、パスポート。国によってトランジットログ(ギリシャ、トルコ・・・)があれば充分。
  • ニュージーランドへの入国書類は前の寄港地で事前入手し、記入し、2日前までにFAXなどで送信が必要。僕はラロトンガで入手し、トンガでFAXしました。トンガにNZ領事館あり、そこで入手も可能。
    ハワイ、グアムに入国するには米国B2ビザを日本出発前に取得が必要。ハワイ入国数時間前にVHF連絡したが詳しく尋ねられた。その他はニューカレドニア、タヒチも含めて入港数時間前にVHF連絡入れるくらいで問題なし。ワイキキヨットクラブは敷居が高いようで、事前に知り合いを通じて予約しました。
    日本へ帰国するとき2日前までに、所定のフォームに記入して入港する港の管轄保安庁に送付する義務があるので、注意が必要です。
  • Emailでの事前通告と入港前にVHFにて連絡。
  • 事前に入国申請が必要なフィジー、バヌアツ、ポンペイ、小笠原は入港前マリーナよりメールにて申請。
    カナダ&米国はVHFにて入港前にPortOfficeに連絡。
    フレンチポリネシア(マルケサス、タヒチ等)は、パドルジャンプラリーに参加のためデポジットも不要、入港時にエージェントが出迎えに来てイミグレ手続きをサポートしてくれるため非常に楽であった。
  • 入港予定に出発する泊地よりFaxおよびE-mail(地上系インターネット環境がある場所から)。入港直前の連絡は入港2時間前VHF16chにコールした 。

入港手続きでのトラブル

  • 特にないが、事前通告が必要な国(フィジー、日本など)はFAXやメール添付で書類を送付する。入出国の港が決められている国には注意が必要。休日や時間外は別チャージがあるので注意。時間外を口実に露骨な賄賂の要求に近いこともあった。
  • 米国の入国に際し(最初はポート・エンジェルス、次いでハワイ)ビザを事前に取得していなかったため上陸許可、入国に苦労した。3度目のニュ-ヨークに寄港する前にはトリニダードトバゴで米国ビザを取得。米国内沿岸航海で州を跨いで航海する場合は、管轄する沿岸警備隊に事前申告が必要。
  • ジャマイカからキューバへ行き、入港しようとしたら「ここでは出来ない」と言われ、違う場所へ。エジプトは必ずエージェント必要。
  • キューバでマリファナ疑惑をかけられた時。大使館に連絡したが、不正は無いので大丈夫との事。実際にそうだった。
  • ポンペイへ入港するにあたって、入国許可証を事前に取る必要があるとのことでした。また、そのためには郵送手続きが必要で、そのために、30日近くかかるとのことでしたが、日本大使館の人が手伝ってくれて、簡単に手続きをすることが出来ました。
  • フィジーで出国時に貝殻の持ち出し禁止国際法に抵触との事案で3日間の拘束となった。最終的にはおとがめなしとなった。入国時の書類が出国ハーバーで確認できずとのことが原因だった。
  • ポンペイから乗船のゲストが、グアム入国時にB2ビザを持っていなかったため、特別申請料として$550ドルとられた。ミクロネシアPohnpeiは事前にクルージングパーミットの申請許可証が必要とNoonsiteに書いてあるが、案内されたFAX番号もメールアドレスも繋がらず、ポンペイにある日本大使館にメールしてクルージングパーミットの督促をしてもらった。
  • フィジー出国の際、始末書を提出した。サブサブで国内クルージングパーミットを取ったがルールが変わったためかカスタム連絡をしていない事で始末書を提出させられた。ただしカスタム職員にお願いをして文章を書いてもらいサインだけして提出した。

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出港準備について

通信機器

  • イリジウム衛星電話と気象海洋コンサルタントとの交信ソフト、アマチュア無線トランシーバ、VHFトランシーバ、海外では携帯電話、携帯モデム、SSBトランシーバを入手。
  • タイムリーに気象情報が取れるようにイリジューム通信を主体とした。航海中に(ニュージーランドで)セイルメール/ウインリンクを搭載。
  • IRIDIUM、PCは各自+NAV用で各自はWifiかUSBモデム。NAV用はIRIDIUM専用。VHFは据え付けとハンディ。SSBは故障してほとんど使えず。ハンディトーキーも船内通信に重宝。それとSIMフリーの携帯電話。業者やマリーナとの連絡に必須。買ったSIMカードは何十枚になったことか。でも安い。
  • インマルサット、パソコン、短波アマチュア無線機
  • 衛星電話:イリヂウム、PC:パナソニックのタフブック2台
  • イリジウム衛星携帯は役に立った。
  • イリジウム、タフブック+C-MAP、iPad+NAVIONICS、Let's note+C-MAP、ガーミンハンディーGPS 2台、Docomo携帯電話器、SKYPE、GoogleGmail電話機能
  • イリジュウム 新型と旧型 2台(シムカードは1台分)、アマチュア無線 10W 1台 アンテナ ホイップ+バックステー、国際VHF 5W ハンディー1台(ハワイで25W機AIS機能付きを購入)、気象ファックス、短波ラジオ

ナビゲーション機器

  • Raymarineのプロッタ、GPS、オートパイロット(油圧システム)、チャートはNavionixで南太平洋では紙チャートを中心とした。PCのGPSとC-mapは補助に使用。ハンディーGPSを2台所有。
  • レイマリンの複合型ナビゲーション計器(GPSマップ、レーダー、深度計、風向・風速計)に加え、単独で利用可能なGPS(Cmap)と緊急持出し用のハンディタイプと合計3個のGPSを準備。EPIRBも法定(大洋無線)製品に加え、航海途中で緊急持出し用のハンディタイプ(ACR社製)を入手した。
  • CMAP+MaxSeaとGARMIN(最後は亀の子Gosget)。AISトランスポンダーも最後の1年利用、便利。オートパイロットはAutohelm社製のリニアモータードライブ(今はRaymarine)。2回故障した。1回はドライブ自体、もう1回はドライのゴムベルト。
  • 米国のTides End社がグレーコピーの海図を安く売っており、インターネットで取り寄せました。70%縮小版なら正規海図の5分の1以下。各海域で選定したものをひとまとめにしたポートフォリオというのも売っています。米国は海図のコピーは許可されており海賊版ではありません。
    オートパイロットはRaymarine社のType2 Linear-Long(20トンまでOK)を購入。帰国したら壊れたので、調べたら中のゴムベルトが擦り減ってました。最低限この予備品は持参必要です。古いオートパイロットを予備として持ってました。
    GPSプロッターはRaymarine社のA60でNavionics Goldというソフトを使いますが日本と太平洋の島々全部を2万円のカード1枚がカバーしていて便利でした。他にハンディーGPSなどバックアップも有りました。
    レーダー、AIS(自艇船名、位置、速度の発信も行うもの)も付けました。本船が衝突コースに入るとブザーが鳴り、相手の船でも警報が出ている筈なので安心でした。しかし起きてワッチはしてました。
  • チャート:CMAP、オートパイロット:チラーパイロット(Raymarin, SIMRAD)、GPS:CMAP, GARMIN、レーダー:FURUNO
  • 全行程の紙チャートは用意したがほとんど使用しなかった。PCチャート(シーマップ)が非常に有益であった。別に全行程でのGPSを使用した。オートパイロットは一回り大きなものを準備した。ウインドベーンも併用した。
  • 紙チャート(カナダ、北米西海岸、ハワイ、南太平洋 ほとんど使わなかった)、C-MAP、iPad+NAVIONICS(見易く持ち運びに便利で優れ物、私は外付けGPSを利用したが3Gタイプの方が位置情報表示が早くかつ正確)
  • 紙チャート 北太平洋全図 サンフランシスコ入港用 ロス入港用 イギリス系およびアメリカ海図カタログ、電子チャート パソコン(C-MAP93) GPSプロッター(ナブマン・C-MAP MAX)、ハンディーGPS 2台(ハワイにてi-PadにNavionix APPをインストールして使う)

食料・飲料水

  • 冷凍庫に生肉や生魚など、米、パスタ、黒パンなど、できるだけ普通の食事を心がけた。荒天時にはレトルトやカンヅメも使用。
    飲料水は左右のタンク合計440リットル、予備の水タンク40リットル、ペットボトルの飲料水を30リットル。葉山からカナダまで53日間で、飲料水が半分残る使い方をした。その後は、次の補給地までの日程を睨みながら50日分以上を常時キープして移動していた。パナマ以降は雨水を集めることで、清水に余裕ができた。
  • それぞれのレグに合わせ、予定された所要日数の5割増しを目途に準備。緊急用として飲料水・携帯食品等10日分を非常用のナイフ、点滅灯、レーダービーム等と併せ、浮力性のある緊急用バッグに準備した。
  • 米、調味料はたくさん用意しました。後は、寄港地にて調達。
  • 国内クルージングに準ずる。無い物は諦める。日本からのゲストに運搬を依頼する。マヨネーズ、わさび、うなぎ、和菓子、つけもの、めんつゆ、乾麺などはよく依頼した。でも食費の半分はビール、ワイン代だったろう。味噌、カレールーなどはラスパルマスで2年分調達できた。
  • 湯を注げば食べられる防災用アルファー米多数搭載。非常用に手動造水機も搭載しました。
  • 食料:米、パックライス、缶詰、乾麺、スパゲティ、乾燥野菜、野菜、チーズ、レトルト食品、酒類。
    水:タンク(250L)
  • 飲料水400L中、常に200Lはバックアップとして使用しなかった。入港2日前から洗濯、シャワーとして使用した。
    食料品は日本から缶詰を非常食として搭載したが半分以上持ち帰った。インスタントヌードル、スパゲッティ類が多かったようです。日本からのレトルト食品は途中で何回か空送したほど、重宝した。
  • 固定タンク160L、2Lペットボトル120本(太平洋横断時)50本程残った(船内の至るところに収納できて便利)。雨水の取水装置も用意したが必要なかった。
  • 食料:最長目的地を考え実働60日の1.5倍の食料を用意した。メインはアルファー米を中心に缶詰、レトルトカレーシチュウ類。
    水:飲料水はペットボトル(2人1日3リットル×90日 270リットル)、清水(生活雑水) 船内タンク70リットル+ポリタン20リットル×2 計110リットル、非常用造水器(ハンド式2リットル/時) 航海中シャワーを浴びたいため必至に2時間造水器を動かした。

燃料

  • メインタンク250リットル、サブタンク90リットル、予備ポリタンク60リットル(南太平洋では120リットル)。ソーラーパネル3枚で最大300W、風力発電機最大200W。3.5kWディーゼル発電機。
  • 赤道越えが行程上多いことを考え200L分増設したが途中から使用しなかった。それでも各港では350Lを準備した。
  • 機走のため1.5リットル/時(4ノット巡航)×24時間×10日=360リットル
    発電のため1.0リットル/時×1時間×50日=50リットル
    合計410リットル(タンク メイン:70リットル+サブタンク150リットル+ポリタンク20リットル×2+18リットル×8=408リットル)

その他

<あると便利だったもの>
  • 布団乾燥器、DVDとTV、CDプレーヤー、自転車
  • マイクロウエーブ。コクピット全体をカバーするオーニング(寒冷地・熱帯の双方に必要。特にシングルハンド、ショートハンドでは体力維持に役立つ。音楽・本・時には(PCで)映画も見た。
  • ハードドジャー、オーニング、バウガード、FRPテンダー、製水機
  • ハンドミキサー、ヘアードライヤー(パイプ・ホースを暖めて外しやすくする)、電動グラインダー
  • AIS、50ポンド級トローリング装置(18kgのマグロも釣れました)、LED充電サーチライト、シャトルシェフ、ドジャーの防水剤、ビルジ液面警報機(お風呂センサーで代用、水漏れ早期発見で助かりました)、ワイヤー、ロープの予備(ハリヤードはほつれが出ます。ステアリングホイールとラダーをつなぐワイヤーも切れそうになりました)。セール補修テープ。
  • 長期航海者に必須なのがしっかりしたドジャー。スリムで頑固が肝心。ポータブル発電機。
  • SPOT(位置情報発信器)ハワイ周辺等一部使えない場所があるが家族、友人への安否確認や現地待ち合わせには非常に有効。圧力釜、シャトルシェフ(保温調理器)、燃料節約に効果あり。ウィンドベーン、ソーラーライト(アンカリング時の自船確予備スターンライトになる)、パーティー用たこ焼き器(タコの代わりにかまぼこ、チーズでもOK)、エンジンパーツリスト。
  • 日よけシート、雨水集水装置
<意外と不要だったもの>
  • 洗濯機、12Vコーヒーメーカー
  • 造水機。あると便利だがメインテナンスに手間がかかるうえ、結局予備に水を積むことになる。但し、大型船・大人数で貿易風帯、赤道付近を長期間航海する場合は、十分なスペースがあれば必需品(?)と考えて良いだろう。
  • 発電機、エアコン
  • 洗濯機、ダイブ用コンプレッサー
  • ナイトスコープ(海での障害物はよく見えない?)、前方監視ソナー、双方向VHF無線電話(法定品だが、ハンディーの国際VHFに予備電池や可搬小型ソーラーパネル充電器などあれば十分、なぜこれを30万円近くで買わねばならなくするのか、まったく納得がいかない)。
  • 圧力鍋、多量の洗剤
  • 紙チャート、エアコン(ハワイで購入したが未使用)
  • 気象FAX

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航海中の生活について

睡眠

  • ウォッチシフトの為に滞在中の長時間睡眠ができなくなった。
  • 入出港前後の2日間を除くと、夜寝て朝起きる陸地での生活サイクルに近い。出入港前後は、状況に応じて(5分~数時間)細切れに睡眠を取る場合が多い。寝すぎないように(目覚まし時計3個を用意し、内1個は手の届かないところに置いた。)海況が変わると自然に目が覚めた。海況変化に柔軟に対応するコツはできるだけ早く陸地から離れること。
  • 3時間ワッチ、明け6時間休憩なので、夜の6時間の内最低5時間は寝ていた。
  • 3~4人でワッチ交代できたので問題なし。2人だけの時はつらかった。
  • 2~4時間は熟睡できた。頼れるクルーがいた。
  • 沿岸は2時間毎目覚ましチェック、大洋は3時間毎チェック(チェックのみ)
  • ダブルハンドであるため必ず1人が起きている状態で航海した。(夫婦のため相手の疲れ具合が分かるので、時間は決めず適正にワッチ交代をした。3~4時間交代)

食事

  • なるべく普通の食事を3食取ること。
  • 荒天時や夜間の航海では、コーヒーとドライフード(肉類、フルーツ、ナッツ、菓子類、栄養食等。サプリメント(ビタミン、カルシューム、野菜のタブレット他様々)
  • 朝、昼、晩3食
  • 1日3食、夜も通常明るい内に。
  • 太平洋の島々で米(日本と同じShort Grainのもの)、他食料品は買えて問題なし。
  • 太平洋横断時は1日2食(ブランチ+夕食)、ほとんど日本食。
  • 時化時は火傷が怖いのでレトルト食品(カレー・シチュウ等)をそのまま火を使わず食べ安全を図った。

風呂

  • ペットボトルを利用したシャワーで体を清潔にするようにした。スコールは寒すぎる。
  • 3年間の航海で村の温泉、ホテルで10回程度。通常はマリーナのシャワーか艇内のシャワー。
  • シャワーのみ。航海中は5日に1回くらい海水でシャワーし、2リッター以下の真水で石鹸を流しました。太平洋の真ん中ではほとんど雨が降らないことが多く、雨水は当てにならない。
  • 毎日ボディータオルで拭くだけ、南太平洋はスコール時にデッキでシャワー。

洗濯

  • 航海中は洗濯せず。着替えで済ます。頻度は寒冷地で7日毎、熱帯地方では3日毎、1人なので、タオル地のスカートを下着代わりにすることもあった。

通信

  • 気象情報を得るためのみ。日本近海1000マイルではオケラネット。
  • 早朝イリジュームを使ったメールのチェック、夕方1日のログ(通常前日の正午から当日の正午まで)を送信。
  • シーガルネット、オケラネット

その他

  • ほとんど読書
  • 海況が穏やかであれば食事、運動、読書/記述、音楽を聴く、等々。次の時化に対処するために体力温存。海況が厳しければ、ワッチにかなりの時間を割くことになる。セールとウインドベーンの調整等。
  • ワッチ、点検、釣り、読書、CD
  • 食事作りかコックピットで居眠りかパソコンでBLOG書き。寝る前に読書。終わり頃は寝る前にカラオケ練習。
  • 食事と睡眠がおもな仕事。気象海洋(株)さんや家族へのメール送信、次の寄港地の観光など調査、入港書類準備など。
  • 台湾人、ベルギー人などお客様クルーと楽しめた。もちろん、言いたいことは言ってけんかもした。
  • 音楽を聴く(朝クラシック、昼80年代和製ポップス、夕刻ポピュラー、ジャズ)。読書(100冊位持参したが太平洋横断時は6冊しか読めなかった)。
  • 火傷と打撲切り傷を起こさないように気を使った。航海中より停泊地の健康管理が重要で、病気やけがの対応として旅行保険をかけた。(あるヨッティーがハワイで脳梗塞になり膨大な医療費を請求され保険に入っていたおかげで財産を失わずに済んだ)

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荒天時の対策

  • 通常の縮帆程度、時間調整を兼ねたヒーブツーなどで、特段の酷い荒天には遭遇せず。
  • 帆船航路を選択したので追手で走ることが多かった。艇速5ノット前後を維持するようにセールを調整。荒天時は(30~40ノット/hまで)は僅かのジブとメインを4ポイントまで縮帆。それ以上ではジブのみで帆走。向かい風が強い時はヒーブツーで海況が好転するのを待つ。強風下の帆走は艇に多大なストレスを与えるだけでなく体力的にも消耗する。適切なタイミングでのヒーブツーは長期航海のストレスを緩和する。
  • 出港時から2pointリーフをして、ワッチの時間に集中。回避できるルート選択や避難できる港やアンカーリングポイントを事前に周知。天気予報によりセールの大きさを縮めておいた。
  • 天気予報の最大風速に合わせてセールセットして、なるべくいじらない。吹いてきたらリーフするなんていうのは、若気の至り。最終的には、3時間以上帆走できる見込みが無いとセールを揚げない。アパレントで8ノットを超えないとセールを揚げない。追っ手ならジブ帆。これが楽チンセーリングのポリシーとなりました。
  • 馬場さんのご指導のおかげで、35~39ノットの風、波4mが最大くらいで、45フィートのケッチは自動操縦がいつも作動して保針は安定で、問題ありませんでした。風が強くなることは馬場さん気象予報で事前にわかってるので、帆を小さくしコンパニオンウェイも含め、ハッチは全部閉める、ハーネス着用など通常の処置をしただけです。
  • セイルを小さくしました。さらに荒天の時はセイルを全ておろしました。
  • 最悪状況は南アフリカ、喜望峰超えでした。2回のヒーブツーを行った。理由はデカく非常に強いチョッピーな波でデスマスタが心配されたために全部セールを下した。
  • 北太平洋横断時にMAX40ktが一番強風であったがジブのみ20%位でウィンドベーン帆走。いつも早めにリーフしたため大きなトラブルなし。
  • 風40ノット、波3m以上の海況では、メインセール3p ジブは収納。風30ノット:メインセール2p ジブセール インナーフル。風20ノット:メインセール1p ジブセール インナーフル。

微風時の対策

  • 次の補給地までの距離を睨みながら機走を併用。
  • 通常と大きくは変わらないが、次の荒天時の対応(ロープの交換、燃料補給、艇内のチェック・清掃等)を心がけた。風がなく波があるときはリグを痛めやすいのでブームをしっかり固定しておくことが肝要。読書や次の寄港地の調査に費やすことのできる最適の時間。
  • 機走。最大時(ガラパゴスへ向かう時)850Lの軽油を積んだ。
  • 3.5ノット以下になると機走しました。ただし燃費を抑えるためかろうじてタービンが回る1550rpmくらいで5ノットで走りました。
  • ひたすら風が吹くのを待ちました。
  • 無風地帯(ドルドラム)ではエンジンを用意し使用した。パプアニューギニアから北上中、3~4日間その状況であった。
  • 3kt以下はすぐ機帆走、そのために450Lの燃料搭載(約12日分)。Pohnpei⇒小笠原間は7割が機帆走。
  • 赤道付近の無風地帯は海面が鏡になり暑いの一言です。しかし無風地帯でも積雷雲が発生しスコールが襲ってくる。あっという間に40ノット超の風と猛烈な雨が襲ってくる。このときはセールは収納しスコールのやり過ごレーダーで雨を捕捉して対応した。心理的に無風地帯で風を待つのが辛いので機走した。出来るだけ燃料消費を考え4ノット前後の省エネ機走に心がけてた。

特に難所だったところ

  • 潮が強いところ。例えば、サンフランシスコのゴールデンゲートに近づくとき、霧で何も見えず、4~5ノットの潮がある狭い海峡で、船の進路をプロッタ上で判断しながら1分おきに船の向きを変えたときは生きた心地がしなかったなど。
    風と潮の向きによって波がチョッピーになるカリブ海、イースターからフレンチポリネシア(ガンビア)へのレグ、小笠原から八丈島なども緊張した。
  • ドレークでの三角波は想像を超えていた。波の谷間では乱流のためウインドベーンが機能せずブローチングに次ぐブローチングで最長8時間コクピットで舵を取り続けた。
  • カリブ海(パナマ―コロンビア、コロンビア―ジャマイカ)、大西洋から地中海に入る間、ボスボラス海峡(トルコ)
  • 難所というほどの所は無かったが、パナマ・ガラパゴス間は向かい風で困った。
  • ハワイからマルケサスまで25日間、貿易風に逆らって上り航海をしたのは疲れました。
  • ホーン岬の近くです。
  • 南アフリカ、喜望峰
  • フィジー⇒ニューカレドニア間は風と波の方向がずれていて始めて船酔い経験。ニューカレドニアのHAVANNAHパスは東風25ktと出潮がぶつかるタイミングのためBOULARIパスに変更。フレンチポリネシアのランギロア環礁のTIPUTAパスは一番流れが緩くても5ktの出潮で流れている。北側のAVATORUパスは3kt程か?こちらを通るべし。
    ハワイ⇒マルケサスの航海ルートは間違い。毎日上りで大変!カリフォルニアやメキシコからマルケサスに行くか、ハワイ⇒タヒチルートにすべし。
  • 帰国最終日、神津島から駿河湾の10時間の航海(40ノットオーバーの風と3m以上の波に阻まれ西伊豆沿岸に持って行かれそうな状況のもとエンジン全開で凌いだ:オートパイロット・ウィンドベンの操船不可・波の打ち込み10数回)。
    ハワイ モロカイ海峡 真追っての風30ノット、海峡の為三角波が発生して操船に苦労した。

故障トラブルの対処

  • 大小様々な故障が起こる。プロッタのフリーズ、ジブファーラー、トイレ、風力発電機、電気系統など、深刻なものから生活の不便になるものまで、実に様々。例えば、エンジン冷却水取り入れ口にポリエチレンシートのかけら(浮遊ごみ)が張り付いてインペラが破損したこともあった。対策は、様々な道具を保持しておくことと予備の部品や材料をなるべく持っておくこと。
  • 沖縄までのテストセーリングを含め、万全の準備をしたつもりだったが、長期間帆走を続けると思わぬ故障が起きることを実感した。例としてグースネックの破損、ウインドベーンの破損等。布製のオーニングを通して雨水や海水の浸み込みで船内に水が貯まる。ウインドベーンは途中で信頼性の高い製品(モニター)と交換。オーニングもアルミ製のハードドジャーに交換した。
  • ホノルルのアラワイヨットハーバーの給油桟橋で入れた軽油に微細な水分が含まれていて、3日に1回は気水分離器(1次フィルター)とエンジンの燃料フィルターの水抜きをしなければならず、これが原因か不明だが、あるときエンジン排気が白煙もうもうとなり、調べたらピストンから燃料が降りてエンジンオイル量が見かけ2倍になっていて驚きました。オイル交換し、以後この燃料は使わないようにしたら再発してません。
  • ケープタウン出航後、船尾からの大波で海水がエンジンシリンダーに入りエンジン使用不能となった。イリジウム衛星携帯での通信で日本の友人エンジニアの遠隔操作で修復完了できた。
  • 太平洋横断中にオートパイロットのベルトが緩みバンクーバーで交換、ロス⇒ハワイでも壊れハワイで修理。エンジン冷却水ポンプのハウジングにヒビが入りハワイで交換。
  • ラットのチェーンが切れる → 1mmのステンレスワイヤーで接続仮修理できた。
    オートパイロット:ベルト切れ → 予備ベルト交換、バルトドラム破壊 → 寄港地にて取り寄せ、モーター不動、ギヤー崩壊 → 予備セットから流用。
    ウインドラス モーターおよびギア不動 → 交換できず手動動作ににて対応。
    ジブファーラー 軸締め付けピン脱落 → 代用ビスで対応。
    トラブル対応:船内にある材料を代用品としていかに使うかが鍵(発想の転換)。

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航海を終えての感想

  • どこの国でも、ヨット乗りや素晴らしい地元の人達の支えもあり、楽しく有意義に過ごすことができました。例えばカナダのバンクーバー島とガルフ諸島の泊地やアメリカ西海岸の洗練されたヨットハーバーの居心地の良さと人々の優しさ、メキシコのバハカリフォルニア半島の砂漠の美しさ、パナマの先住民クナ族のサンブラス、南米コロンビアカルタヘナの旧市街、タイムスリップしたようなキューバ、ケイマン島の海、ガラパゴスの珍しい動物達とのふれあい、イースター島の草原を走り回る野生化した馬達の美しさ、チリ海軍の完璧さ、フレンチポリネシアのガンビエール島の寛容さ、ニウエの海の透明さ、フィジーの人たちの陽気で温かいもてなしの心、マーシャル諸島の環礁の美しさなどなど、語りつくせない。
  • アラスカやグリーンランド等、言葉・文化は違うけど、似ている容姿の人々はお互いに親近感がありました。
  • 100人の知り合いと20人の友達ができた。日本人女性が海外でがんばっている。一番はトルコで知り合った日本人よりも日本人っぽいトルコ人。就職口を断って、半年間艇の留守番をしてもらった。
    世界一周がこんなに楽チンとは思わなかった。地中海を除き、ほとんど北回帰線と南回帰線の間にいたせいもあるでしょうが。夫婦で行くのがベスト。
  • ニューカレドニア、バヌアツ、ポナペでは現地に住んでおられる日本人の皆さんに大変親切に面倒を見ていただき助かりました。夢がかない、素晴らしい経験ができて、大変良かったです。
  • セーリングを愛する人たちとの出会いは井の中の蛙大海を知った心境であり、至福のひと時であった。長期航海にでない日本人セーラーはクレージーだ。Sail to the Trade winds!!
  • 多くのセーラー達に助けられました。馬場社長をはじめ、WAMの皆様のご支援により世界一周をすることが出来たことを、感謝しております。気象学的にも、地球の天候、海流、風の大きな様子を身をもって体験できたこと。各寄港地では世界のセーラー達と知り合えたこと、また彼らの友情に助けられたことなど、楽しい思い出ばかりです。
  • バンクーバー(WVSS)で知り合った友人達が出迎え、歓迎パーティー、買い物の手伝い、ウィンドベーン、オートパイロツト修理など献身的にサポートしてくれた。サンフランシスコで知り合ったシリコンバレーSailing Clubのメンバーは船底掃除の手伝いや、総会パーティー、Google本社でのランチ、出港時壮行会、SGでの5ヨットクラブとのバージ交換のサポートなど献身的にサポートして頂いた。2年間充実した日々を過ごす事ができた。
  • フィジーのマスケットコーブリゾートはまさに天国、極楽の世界でした。また、生活する場としてハワイは言い難いほど素敵な世界でした。外国のヨッティーは皆親切で友好的でした。気があって和気藹々になることもしばしばでした。もっと英会話が上手ならば楽しさも倍増します。私みたいな中学英語でも一生懸命聞き、話をわかりやすい話し方をしてくれました。本当に皆フレンドリーです。
    当初計画の地中海までのクルージングがトラブルのおかげで思いもしなかったハワイ生活が出来てしまいました。計画通りがすべてでは無いことも分かりました。ようは楽しいヨットライフが出来たことに感謝しています。ヨットを乗り始めてからのい言葉「楽しくなければヨットではない」が実践できました。

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